料理長の声

とうふや

とうふや料理長 千原昌也(ちはら・まさや)

1969年生まれ/三重県伊勢市出身


---料理の道を志したきっかけは?

小学生の時は近くの里山が遊びの場で、ワラビ、タラの芽、栗にタケノコ、成っとるものを採ってきて、自分たちで焼いたりしてました。その頃は五十鈴川でもたくさん魚が釣れましたしね。採れたての自然のものはうまいなあと食べることに興味が沸いて、手に職を持とうと料理の世界に入りました。




---今の職場の周辺が遊びのフィールドだったんですね。これまでの経歴は?

名古屋へ出て「なだ万」に入りました。全国から人材が集まり、12人の同期のうち早々に辞めてしまう者もいたほど厳しいところ。当然、下働きの仕事が多く、下っ端が料理を作るのはまかないのときだけでしたが、料理の基礎を学べる機会、しっかりたたきこんでもらいました。
帰るのは午前1時、2時で、朝4時か5時には出勤、ほとんど調理場にいる生活でした。立ったまま寝てしまうなんてこともありましたよ。なだ万は名だたる料理人を輩出してきた狭き門、そこで働けたことは本当に運が良かったと思います。4年勤めて伊勢へ戻り、小料理屋「桂川」で修業。平成7年におかげ横丁へ来ました。


---若くして「とうふや」の料理長に就任しましたが、プレッシャーはありましたか?

34歳のときでした。どちらかというと怖いモン知らずですし、プレッシャーを感じているよりは、いろいろ思うことをチャレンジ突き進んできた方です。


---後輩のフォローはどんなふうに?

失敗を恐れず何でもやらせています。最初から指示してしまうと、伸びる子とそうでない子の差がはっきりしてしまいがち。間違えたときだけ、正しく指導するようにしています。
新しい料理は、いきなり作れるものではありません。毎日の繰り返しの中で自分の料理を描き、自ずと学んでいくのが料理の世界。みんな若手ですが自主的にいろいろやってくれてます。
舌を肥やすためにも、研修などでほかの料理を味わう機会を与えてやりたいですね。




---人の向上心を刺激するのも難しいことですよね?

わたしたちは料理をお出しする立場ですが、自分が客として出されたら嬉しいものを作ろうと話しています。立場を逆に考えれば、盛り付けもきれいになってきます。店内で田楽を焼く機会には、お客さんの反応を直接見ることができて、帰りがけに声を掛けていただいたり、励みになります。











---とうふやで扱う素材の苦労はありますか?

うちの店はとうふと穴子が基本。豆腐は単純なだけに、主役にはなりにくい難しい食材。塩やタレでシンプルに味わってもらうことが多いのですが、味を引き立たせる加減にいつも気をつけています。
穴子も素材の良さを見極めることが大事で、大きさは30~40センチ、肉厚でしっかり脂がのっているものを厳選し、火が通りやすいよう背開きにしています。





---味わってもらいたい料理と気をつけていることは?

開店時間に合わせて作っている寄せ豆腐です。その日の一番いい状態で、大豆本来の甘み、うま味を味わっていただけるものです。
店のオープンから3年後に念願のとうふ工房ができました。大豆を水に浸ける時間や炊くときの火力、それに湿度と、毎日同じではなく、わずかな調整をして、経験を積まないと納得のいく味は出せません。
和食は四季を感じる、日本人だからこそ味わえる料理です。その和食では基本が第一。季節豆腐を毎月お出ししていますが、今まで習ってきた和食の基本があるからこそできたメニューだと思っています。










---料理をやっててよかったと感じる瞬間は?

「おいしかった」の一言がたまりませんね。それだけで満足。次また頑張ろうという気持ちにさせてくれます。


言葉の節々に、揺るぎない自信を感じさせる千原さん。試練やプレッシャーを乗り越え、純粋に自分の料理への好奇心と向上心に向き合っています。


株式会社伊勢福
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