料理長の声

すし久

おかげ横丁 総料理長/すし久 料理長 上西則昭(うわにし・のりあき)

1954年生まれ/三重県伊勢市出身


---料理の道を志したきっかけを教えてください。

実家が魚屋をやっていまして、小さい頃からおやじと一緒に市場へ出掛けてました。家のことは手伝ってこそ当たり前の時代、興味があるとかそうゆうことでなく、それに末っ子でしたから、兄弟の中でも私が一番店にいたと記憶しています。後を追いかけ料理屋にもついて行ってましたから、そんなことが料理をやるきっかけになったんだと思います。祖父は料理人でしたから、その血筋もあるんでしょうね。



---おかげ横丁へはどのような経緯で?

店を方方に移ってこそ料理人は大きくなれるというもの。新たな場所でいろんなことを吸収し、経験を積んでいきます。若かった頃は、自分が選んで店を移動するということではなく、信頼する親方の顔なじみのところへ預けられるという時代。人が足らないと聞けばそこの店に行ったものです。義理人情の厚い世界ですし、上下関係の厳しさももちろんありました。
料理を覚えるまで、休みなしは当たり前。かといって先輩が手取り足取り教えてくれるものではありません。見様見真似で動きを観察していれば、次に自分が何をすべきかがわかってきます。
伊勢志摩のホテルや旅館で経験を積んで、大阪へ出たこともありますが、おかげ横丁へ来たのも、先輩との縁があったからです。





---これまでの職場と違うところは?

すし久の看板メニューが「てこね寿し」。伊勢志摩の郷土料理を味わおうと、昼時は連日ほぼ満席、休日だとお待たせすることも。その分、回転の効くメニューで対応しないといけません。同席の方に、料理を出す時間のズレが出てしまうのもいけませんし、スピード感のある献立作りを心がけています。












---新しいメニューを考えるときの苦労は?

すし久は田舎料理が売りですが、ただ田舎の味を出せばいいというわけではなく、古風ながらも今の好みに合わせていかないとなりません。
例えば地域の家庭料理のである「なます」は、昔は酢のきいた、とても酸っぱい味。今は家で作る機会も随分減っていますが、そんな料理を受け入れられる嗜好にアレンジします。そうでないと郷土料理は、廃れていってしまいます。
食材に地元のものを使うのはもちろんですが、マコモなどこれまでなかったものも取り入れています。生産農家さんへの励みにもなりますし。

看板料理のてこね寿しにいたっては、基本を変えるわけにはいきませんが同じ事ばかりでは店の発展になりませんし、てこね寿しを広めるためにもアレンジが必要。サラダ感覚で食べられる巻き寿司風にしたところ、女性のお客さんにたいへん喜んでもらえました。核となる料理のベースは崩さず工夫し、また付け合わせを現代風にして、変化を出しています。しかし、いきなりアレンジでは駄目です。まずは本物を知る必要があります。




---今後取り組んでいきたい料理はありますか?

これからは健康重視です。つくしや蕗の薹などのメニューを考えていますが、アシタバやウルイ(ギボシ)なども体にいい山菜として、お出ししていきたいです。また同じ食材でも健康を意識した調理方法をしています。


---料理を通じて、影響を受けた方はいますか?

中川武さんです。田舎から出て頂点まで行った人ですが、修業に行くことは、いろんな人の腕を習いにいくことだと教えてくれた人です。その時代に、あくまでも基本を第一に、きちんと頭に叩き込んでおいたことが、今に役に立っているのでしょう。おかげ横丁での経験も自分の料理人生の大きな糧になっています。きちんと次の世代に伝えていきたいですね。


温厚な人柄で、控えめではありながら、料理一筋の職人気質を感じる上西さん。修業を積んで身についた「温故知新」の料理哲学が、おかげ横丁の料理を支えています。



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